#8 朝の歌2
Song of Morning, book2 愛によって営まれる社会が生まれる
人間にとってつらい苦しい夜は過ぎ去り
すばらしい朝がやってきます
朝は輝きに満ち
人々の心は未だかってないほど
明るく軽く生き生きとしてくるでしょう
人間は、この数千年の歴史のなかではじめて
想像もしなかったようなやさしい心を
自分たちが持っていることに気づくでしょう
そのとき
人は愛によって生きるようになるのです
人間の歴史のなかで人々が愛によって生きた日は
遠い昔
人間が歴史として知っている以前のことでした
地球上に生まれた緑輝く森のなかで
当時、人々は暮らしていました
そのころの人類は衣類を身に着けてもいないような裸の姿のままで
マンゴーやさまざまな果実を採ったりして暮らしていました
男と女は恋をし、愛し合い、子供を生み
共に助けあって暮らしていましたが
いまの人々のように
家族と家族が対立しあうような関係ではありませんでした
男と女と生まれた子供たちはともに暮らしていました
が、また、隣の人々とも交わりあい
同じ森で暮らす人々はみな溶けあって
どの家族のものだという考えは全くなく
助けあい、愛しあって暮らしていました
家族の形成というのは
歴史とともにしだいに強固になり
いつしか、これが社会の基礎となる単位になりました
個人と個人が対立しあう関係と同じように
家族と家族が対立しあって
それぞれの厚い壁をつくり
たがいのエゴイズムをぶつけあって生きるようになってきたのです
そのことが
人間が同じ地域や周囲に住む人々ともっと溶けあい
もっと助けあって生きるための壁となってきました
人間はお金というものを作りだし
また、地球上の土地やすべてのものを
私有財産という形で分割し
それを家族単位で相続するという形で所有権を承継してきました
それもまた人と人との間に対立を生み出す大きな原因となってきました
地球の上に生まれてきたすべての人にとって
地球上の環境はたった一つの楽園なのですから
それを個人や家族あるいは国家そのものとして分断し
たがいに他の人に使わせないというのは、まちがったやり方です
すべての土地や樹々や山、畑、森林、草原、沼、海などは
地球という一つの星に住む人類に与えられた
かけがえのないたった一つの生活環境なのですから
それを誰一人自分の所有物とできる人はいないのです
すべて一本一本の草も花も山もみなすべて
六十億の人々の共有財産なのです
人類は家族という単位を社会生活の根底において
それぞれの利益をはかることを当然としてきましたが
そのことが人間と人間
ひいては国家と国家の対立を深めることにさえなってきました
その昔
森で裸の人々が楽しく暮らしていたときには
そういう意味での家族はありませんでした
若い男女は生まれてきた子供を育て
年をとった人々はより多くの人々の調和に心を使って
みんなの活動が互いにぶつかり合わないように
みんなのエネルギーが全体の調和のなかで
より大きな一つの力となっていくようにと知恵を働かせて
人間の集団の運営を計ってきました
そこでは人々は
それほど多くの社会的なルールに縛られていたわけではありません
その後人間が作ってきたような憲法とか法律
あるいは社会制度もありませんでした
人々はただ自分のいのちの内側から湧き上がる
すべての生きとし生けるものに対する愛という
たった一つのルールに従って生活を営んできました
そのとき人々は
自分が他人にしてほしくないことを他人にしないということ
あるいは、自分が人にしてほしいと思うことを人にするということ
たったそれだけで当時の社会は円滑に動いていました
複雑な原則や法律のようなものを人々は必要としなかったのです
子供を育てるときでも、両親はもちろんのこと
まわりのすべての人々が生まれてきた小さな生命への愛を感じ
そういう愛に育まれることで子供たちは元気に育っていったのです
そしてまた
子供たちはまわりの人々からの愛によって成長しましたから
同じように愛に満ちた大人に成長していったのです
今、現代人は愛のない社会に苦しんでいます
子供たちさえほんとうの意味で親から愛されることもなく
社会に住む人々からも愛されることなく育っていくので
大人になってもほんとうの愛を知らず
社会を運営していくために作られた規則に従って生きるしかなく
心はどんどん退廃していってしまうのです
いま、この瞬間にも、多くの子供たちがこの地球上に誕生しています
この子供たちは、みなほんとうは
愛されることを願って生まれてきた小さな生命なのです
けれども、病弊した現代に住む人たちは
その子供たちに伝えるべき愛を知らないのです
子供たちは誰よりも愛を求めているのです
愛によって育った子供たちは
大人になって愛を伝えることはできますが
生まれながらに愛を知らない子供たちは
生きてゆく道標(みちしるべ)を失ったまま
ただ年齢とともに肉体だけ大きくなって
ますます行く先がわからずさまよい続けるより仕方がないのです
道標となるべき光は
ほんとうは生まれてきた一人一人の子供のうちにもあり
全世界六十億のすべての人々の心のうちにもあるのですけれども
その心のうちにある光に多くの人は気づいていません
現代人は長い間その光に通じる心を閉ざしてきましたから
光への道をほとんどの人は完全に見失っていますし
子供たちにもその道を伝えることができないでいます
この心の暗闇こそが人類の夜であり
夜明けを迎えるときには
人々は誰もかれもが
自分の心のなかにある光の道に気づくことができるのです
そして、その光の道に気づいた人々は
生まれてきた子供たちに愛をつたえることができるようになります
子供たちは愛によって育てられるようになりますから
朝がくれば人々は法的な約束事によらずに
心の愛によって社会を運営するようになるでしょう
いずれまた人間に必要な法律のようなものが形づくられるでしょうが
夜明けの瞬間においては
そうした書かれたものがなにもいらないと言ってもいいほどに
人々の心はみな愛に満ちているのです
地球上の多くの人々は
人種による差別もなく
身分的な差別もなく
また、家族単位で財産を所有するということさえもなく暮すでしょう
そのとき、人間はもちろん何か衣服を着ているでしょうが
心はまるで裸の人の心のように素直になって
朝の光のもとに立ちつくしていることでしょう
そのときには国境さえ何の意味もなくなるのです
形の上では国境は存在しているでしょうが
人々の心はそんなものを軽く超えてしまっているからです
黒人も、白人も、黄色人も、エスキモーも、インディアンも、
男も、女も、子供も、老人も
健康な人も、そうでない人も、知能の優れた人も、そうでない人も
とにかく、どんな理由にせよ
人間が人間を差別する心をなくすときがほんとうの夜明けなのです
そのような日を地球上で迎えられるということは
今の人間にとって
とうてい信じられないことでしょう
なぜなら、記録に残っている人類史には
そのような人間が生きていたことはないからです
けれども
すべての人はその心のうちに光へ向かう道が印されているのですから
夜の間のさまざまな苦難の果てに
人々が私利私欲を捨てて
そのような愛の道に気づくとしても不思議はないのです
どうか、
このようなことを夢物語として受け取らないで
自分のなかにそのように変わる可能性が
秘められていることを深く信じてください
一人一人がそのような人間に変われば
世界中の人々は朝を迎えることができるのです
何よりも大切なことは
一人一人が自分の心のうちにある愛を信じることです
自分を信じられない人は他人を信じることができないし
全世界の人々を信じることもできないでしょう
しかし
もし自分のうちにほんとうの愛があると気づくことができれば
全世界の人々もその愛を持っているのだと
堅く信じることができるはずです
動物も心のうちに愛を持っています
それは人間とは色合いを異にしている面もありますが
本質的には何も変わらない愛なのです
人間が動物を愛し、動物が人間を愛す
そのとき、たがいに自分の心のうちの愛に気づくこともできるのです
植物も例外ではありません
植物もまた花を咲かせ
樹々が茂り
その実を人間や動物に提供したり
木陰を人間や動物に提供したりする
そのときに植物と人間の愛が芽生え
植物と動物の愛も芽生えるのです
植物でさえ、そうしたときに自分の心に愛があることを悟り
また、その果実を受け取った人間もまた
植物の心に愛があるということに気づくことができるのです
石や水さえも例外ではありません
水はすべての生きものを潤し
あらゆるいのちの源(みなもと)となって
地球上のすべてのものに愛をつたえているのです
空気ももちろんのことです
石も土もすべてのいのちを育む源となっているのです
そうした生物・無生物すべてを含んだ愛の連鎖が
この夜明けのときを地上にもたらそうとしているのです
いくらわたしたちがこう語りかけても
あなたがたがそれを信じないであろうことを心配しています
人間がいままで自分たちが作ってきた軌跡だけを見ているかぎり
なかなかそのことを信じられないという気持ちはよくわかります
人間は、長い間
たがいに殺しあい、
だましあい、奪いあってきました
わたしたちも充分にそのことを知っています
だから、そういう人間性が変わる日を
簡単には信じられないという気持ちもわかります
どうか、長い間の懐疑を捨てて、その道を信じてください
人間は肉体の死を究極的な終わりだと考えて
そのことを恐れ
そのことばかりを一大事と考えているようでしたが
肉体の生や死よりももっともっと大事なことが
自分の心のなかのほんとうの愛に気づくということなのです
そして、早く気づいた人が
まわりにいる多くの人々にそれを伝えることによって
地球上のすべての人々に網の目のような愛の連鎖反応が起こり
人々は一気に目覚めて
夜明けの日をむかえることでしょう
いま、信じられないと思っているかもしれませんが
人間が愛によってだけ生きる日
その日が来てしまえば
どうしてそうでなく生きてこれたのか
そのことの方を不思議に思うでしょう
それほどにも、愛によって生きることは
人間にとってふさわしいことであり
心地よいことであり、すばらしいことなのです
なぜこんなすばらしいものがあるのに
それをいままで信じもしないし求めもしないし
期待さえしないで拒絶し、あきらめ果てて生きてきたのかと
過去を振り返って、ほんとうに愕然とするでしょう
夜明けの前の苦しい試練のあとで
夜の明ける日はもうほんとうにすぐなのですから
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